2013年5月4日土曜日

読書会20140418「銃・病原菌・鉄」 第三部 銃・病原菌・鉄の謎




「銃・病原菌・鉄」 第三部 銃・病原菌・鉄の謎

11章 家畜がくれた死の贈り物

「動物由来の感染症」
天然痘、インフルエンザ、結核、マラリア、ペスト、麻疹、コレラ等はもともと動物がかかる病気だった。  いまは人間だけが感染して動物は感染しない。
病原菌は進化、変化して人間だけが罹患するものになった。

「進化の産物としての病原菌」
感染者の数がどのくらいになるかは罹患者がどのくらい長い間感染源として生き延びるかということと、病原菌がどのくらい効率よく感染するかによってきまる。
宿主である人間を死なせるのは本旨ではなく有効な伝播を促そうとした結果の産物である。

「症状は病原菌の策略」
人間の対応としては発熱による消毒、免疫力による防御、自然淘汰による遺伝子の向上がある。 交流がなければ平和である(ハチドリと人間の如し)。
症状は人間の体を媒体にして自分を伝播させるために病原菌が編み出した策略である。

「流行病とその周期」
伝染力の強いものは短期間で集団全体に蔓延する。  
人間は短期間のうちに死ぬか回復して抗体をもつ。  
次の流行は抗体のない新生児が育つまで休息する。
麻疹は50万人以上の集団では次々と居場所を変えることではびこり続けることができる。

「集団病と人口密度」
集団の人口の少ないところでは集団病は生まれない。 
少人数集団で見られるハンセン病のような感染病は太古の昔からあった。  
集団感染症は人口が増加し密集して住むようになって出てきたものである。

「「農業、都市の勃興と集団病」
農耕は狩猟の10倍から100倍の人口を支え得る。 農耕民は定住し環境は汚染される。
病原菌にとって繁殖環境が整うことになる、都市の環境は最も適していた。
交通網の整備も追い風だった。

「家畜と人間の共通感染症」
動物においても集団感染症は菌が生き延びることができる規模の集団を維持する群居性の
動物だけである。  麻疹()、結核(牛)、天然痘()、インフルエンザ()、百日咳
(豚・犬)マラリア(家禽)などの病原菌は動物の間に存在する。

「病原菌の巧みな適応」
動物から時折うつされる菌から、人間だけがかかり大流行する菌まで、菌は適応を続けてきた。

「旧大陸からやってきた病原菌」
1520年にスペインのコルテスがもたらした天然痘の大流行で2千万人いたメキシコ人口は
160万人まで激減した。   北米アメリカ先住民はスペイン人の病原菌でスペイン軍隊が来る前に大半が滅亡させられた。 コロンブス以降200年以内に95%の人口が失われた。

「新大陸特有の集団感染症がなかった理由」
家畜化の対象となるような野生動物があまり生息していなかった。
大型哺乳類の80%は13千年前に絶滅している。 残った数少ない動物も牛や豚のような菌を持っていないしそれらは人間に密着して飼育されていなかった。

「ヨーロッパ人のとんでもない贈り物」
南北アメリカ大陸、オーストラリア、南ア、ハワイなど各地で人口が激減した(50-100%)。
他方、マラリア、黄熱病などは400年に亘ってヨーロッパ人の進出を妨げた。



12章 文字を持った人と借りた人

「文字の誕生と発展」
文字は知識をもたらし力をもたらした。 文字は未開と文明を判断する尺度である。

「三つの戦略」
文字による表記は単音と表意と音節(日本のかな)があり混在して使われる場合もある。

「シュメール文字とマヤ文字」
文字の発明は難度の高いものであった。
BC3000年シュメールは表意を基本として表音や決定詞などを混合して作り上げた。
BC600年マヤも表意だが表音と音節を混合している点では似通っているといえる文字を作った。   表12-1

「文字の伝播」
文字はシュメール文字かマヤ文字を改良するか刺激を受けて考案された。
文字をゼロから作り上げるのは困難である。
シュメール人はおそらく数百年から数千年かけて文字システムを完成したと思われる。
文字の発達には社会にとって文字が有用でなくてはならないし、書記を養える生産性の
ある社会が必要である。  文字はアイディアを含めた模倣により伝播した。

「既存文字の借用」
アルファベットはBC2000年~1000年にセム族がエジプトの象形文字から発展させたものである。

「インディアンの作った文字」
チェロキーインディアンは1820年ごろ白人が記録しているのを見てチェロキー語の文字を
独自に考案した。  
簡単に習えたのでチェロキーの間に瞬く間に普及し文盲率はゼロになった。
 (チェロキー族とジョージア州の法廷闘争、西部移住1838年)

「古代の文字表記」
ハングルは中国語からヒントを得ている、同様にケルトのオガム文字はアルファベットからヒントを得ている。
しかしシュメールや中国の文字は独自に発明された者である。
中国の文字はBC1300年ごろ、メソポタミアの文字はBC3000年以前に誕生した。
エジプトの象形文字がBC3000年にほぼ完成した姿で突然出現したのはシュメールの模倣だったからである。
地中海、近東の人々はシュメールからアイディアを模倣した上で独自の規則や記号を編み出した。

「文字を使える人びと」
シュメールの粘土板の90%は事務的な記録である。
神話を書くようになるのは表意から表音に移行してからである。
ミケーネでも羊の頭数、亜麻のことなどでイリアス、オデッセイは暗唱された。
文字は用途が限定されており改良の必要性はそれほどなかった。
ギリシャ人がギリシャ語アルファベットを作って初めて文学作品の文字化が可能になった。

「地形と自然環境の障害」
サハラ砂漠、北メキシコ砂漠、パナマ地峡のジャングルなどがアンデス、西アフリカ、ミッシシッピ渓谷の文字の伝播をさまたげた。


13章 発明は必要の母である

[ファイストスの円盤]
BC1700年クレタ島で作成されたというファイストスの円盤は表音文字で最古の凸版印刷物とされるが活用されないまま埋没した。
発展の遅い大陸(地域)には新しいものへの受容性に欠けた社会だけがあったのか。
大陸ごとに発展のスピードに差があるのはなぜか。

[発明が用途を生む]
発明の多くは人の好奇心の産物で発明をどう応用するかは発明の後に考えられている。
(日本の技術、基礎研究より応用研究)
商業生産にまで行きつく発明はほんのわずかである。

[誇張された天才発明家]
発明者の栄誉に輝く人は商業的に成功した先駆者である。  既存の技術を改良して
提供出来た人で有能な先駆者と有能な後継者に恵まれた人である。
ファイストスの円盤を完成させた人はまだそれを大規模に活用できない時代と社会に
それを作り出してしまった。

「先史時代の発明」
技術は天才によって突然発生するものではない、必要に応じて発明されるものでもない。
発明された後に用途が見いだされることが多い。 ガラス、金属、火薬、石油分留などがそれである。

「受容されなかった発明」
経済性の劣るもの、家畜のいないメキシコの車輪、社会的ステータスを好んだ日本のタイプライター(?)、既存のものとの互換性の問題(半導体と真空管、ガス灯と電灯)

「社会によって異なる技術の受容」
技術が受容(発展)される理由は社会、経済、思想、など多くの要因(14要因)があるがそれらは究極の疑問に答えていないと思う。

「同じ大陸で異なる技術の受容」
地域により時代により技術の受容に変化が見られる。
広大な大陸ではどの時代にもある割合で革新的な社会が存在しうる。

「技術の伝播」
野生植物の栽培や土器の製造は自然発生的であったが他の技術は伝播によるものが多い。
大陸の中央にあったイスラムはインドや中国から発明を取り入れ古代ギリシャの学識も
受け継いだ。     
日本の銃や中国(日本)の外洋船の如く一時技術を捨てた地域もあった。

「技術は自己触媒的に発展する」
印刷技術確立のために紙、活字、冶金、印刷機、インク、文字という技術が発展したように、技術の発展は自己触媒的である。

「技術における二つの大躍進」
第一は10万~5万年前の現代人種が言語と大きな脳を持つようになり石器を中心とした道具を持つようになった時。
第二は13千年前の食糧生産と定住生活の始まりであった。
技術は人口が多く、発明する可能性のある人々が多く、競合する社会の数が多く、食糧生産性の高い広大な地域でもっとも早く発達した。
その点からユーラシア大陸が断トツであり、ユーラシア人が知的に恵まれていたわけではない。

14章 平等な社会から集権的な社会へ

「ファユ族と宗教」
ニューギニア奥地のファユ族は宣教師の教えで相互の争いをやめ現代人的な生活を始めた。
かっては宣教師は政冶(軍人)と組んで植民地化に貢献したことが多かった。
政教が人類の歴史に影響を与えている。

「小規模血縁集団」
580人の血縁を主体とする集団で移動生活を行った。 
ゴリラ、チンパンジー、ボノボ等も同様である。  
人類はこの形態を数百万年に亘って続けてきた。
これ以外のタイプの集団は過去数万年の間に生じたものである。
現在の世界でも少数だがこの集団が残っている。  表14-1

「部族社会」
数百人の規模で定住生活に入っているものが多い。
数がこれ以上になると知らない人間同士の紛争解決がむつかしくなる。
官僚システムや法律がない、捧げもの()がない。

「首長社会」
首長社会は国家との競合に於いて20世紀初頭までに姿を消した。
世襲の首長が権威(裁判権)を持ち官僚や奴隷が発生し税が徴収された。

「富の分配」
税によって富の再配分が行われたが階級間の搾取も行われた。
民衆の不満を抑えるため武器の独占、善政、警察力強化、宗教の活用などが行われた。

「首長社会から国家へ」
BC3700年前のFCでBC3000年中米で、2000年以上前のアンデス、中国、東南アジアで1000年以上前の西アフリカで国家が誕生した。
首都があり租税による資本の蓄積が行われた。  
富の再配分も大々的に行われ、労働も分化して国家機能は社会生存上不可欠のものとなった。
労働分化により奴隷の使用が可能となり戦争による捕虜が多数の供給源となった。
宗教は国教となり国王が国教の長となった。  
官僚制度も整備された。

「宗教と愛国心」
愛国心のために戦うという考えは国家成立前の集団には存在しなかった。
宗教と一体化して征服戦争に傾倒するという風潮は首長社会や国家が6000年前に誕生するまでは存在しなかった。

「国家の形成」
灌漑施設は国家形成の要因ではなく結果である。
まず大規模集団の形成と複雑な組織制度の誕生を見なくてはならない。

「食糧生産と国家」
定住化や食糧生産によって市民を支えることができ人口増をうながした。
労働分化や社会階層の形成が可能となった。

「集権化」
紛争解決には権力の裏付けが必要である。 
効率的な意思決定も可能となり富の再配分も行い得る。
人口密度の高い大規模集団は複雑化し集権化する。

「外圧と征服」
外圧(危機感)と征服によって国家は形成された。
規模の大きな集団は有利であった。 
政治組織と政策面の優劣も影響した。                第三部了